人材開発支援助成金

2025年01月05日

人材育成支援コース(人材育成訓練/認定実習併用職業訓練/有期実習型訓練)

人材育成コースは人材開発支援助成金にもともと設けられていた3つのコース(特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コース)が1つに統合されたものです。統合されたことにより、コースごとに必要だった申請の手続きが不要となり、従前の制度では、OFF-JTの訓練時間が20時間以上でないと助成対象とならないコースがありましたが、認定実習併用職業訓練を除いて訓練種別を問わず10時間以上の訓練で申請が可能になりました。

対象となる訓練は?
人材育成支援コースの人材育成訓練はОFF-JTで訓練する必要があります。認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練ОFF-JОJTを組み合わせ

ОJTは、その名の通り、実際の出荷品を研磨したり(不良品、廃棄品を使って研磨するのがОFFJT)、パーマをお客さんに実際に施術したりすること(モデルウイッグに施術するのがОFF-JT)で、事業活動の中で行われることですが、ここでは生産ライン又は就労の場における通常の生産活動特別して業務の遂行の過程で行られるОFF-JTについてもう少し詳しくみていきましょう。

ОFF-JT
事業内訓練【事業主自らが主宰】
講師は部内講師と部外講師によって支給要件が異なります。

                  厚労省 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(令和7年度版P32) 

ОFF-JT
事業外訓練【教育訓練機関が企画し主催】
事業外訓練の場合、教育訓練機関の支給要件があります。

             厚労省 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(令和7年度版P33)

つまり、自社で企画して主催して行う事業内訓練でも、社外の教育訓練機関に受講料を支払い受講させる事業外訓練であっても,いずれでもОFF-JTは可能です。ただしeラーニング、通信制による訓練は事業外訓練のみ対象になります。

助成額・助成率

  eラーニングによる訓練、通信制による訓練は経費助成のみで賃金助成はありません。
厚労省 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(令和7年度版P16) 

人材育成訓練の有期契約労働者等の助成率が昨年までは正社員化した場合と正社員化しない
場合とでは助成率が違っていたのですが、今年度からは一律70%となりました。


人材育成訓練支援コースには上記図のように3つの種類に分かれています。

人材育成訓練(事業活動と切り離して座学などにより行う訓練。ОFF-JT(10時間以上)で事業内訓練または事業内訓練で計画する必要がある。OFF-JTであればよく、事業内訓練か事業外訓練は問われない。)
認定実習併用職業訓練 ОFF-JとОJTを組み合わせ
有期実習型訓練 正規雇用労働者等に転換する事を目的とし、有期実習型訓練を受ける事が望ましいと認められる者に対してОFF-JとОJTを組み合わせ(ОFF-JTが10時間以上)で実施する訓練。正社員の経験が少なく、これまでの職業生活で職業能力の形成機会に恵まれなかった方など、「有期実習型訓練を受講する必要がある」と認められた有期契約労働者等のみが対象)

人材育成支援コースの3つの種類のうち、まずは人材育成訓練から見ていきましょう。

人材育成支援コース/人材育成訓練 

OFF-JT(職場ではなく研修等によって知識・技能を習得させるための訓練)で10時間以上の訓練で

活用できます。

「賃金要件」と「資格等手当要件」 とは?
人材開発支援助成金では賃金アップのさせた場合に助成額が引き上げられます。以前は「生産性要件」による加算がありましたが、「生産性要件」による加算は廃止となり、代わりに賃金アップさせた場合の割増助成が設けられました。下記いずれかを満たしている場合に助成額が割増されます。

「賃金要件」=毎月決まって支払われる賃金について、訓練終了日に翌日から起算して1年以内に5%以上増加させている事。
「資格等手当要件」=就業規則等に資格等手当の支払いを規定し、訓練終了後の翌日から1年以内に手当を支払い、賃金を3%以上増加させている事。


人材育成支援コース/認定実習併用訓練
主な要件
・厚生労働大臣の認定を受けたОJTとОFF-JTを組み合わせた実習併用職業訓練を実施する事
・訓練実施期間が6か月以上2年以下であること
・総訓練時間が1年当たりの時間数に換算して850時間以上であること
・訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1「職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実
 習・ОJT用)」により職業能力の評価を実施すること
主に新規学校卒業者を対象としたりします。

 

人材育成支援コース/有期実習型訓練              主な要件
・有期契約労働者等を正規雇用に転換する目的で行う訓練でありОJTとОFF-JTを組み合わせた訓練
ОFF-JTの実訓練時間数が10時間以上であること
訓練実施期間が2か月以上であること
・総訓練時間が6か月あたりの時間数に勘案して425時間以上であること
・訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1「職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実 
 習・ОJT用)」により職業能力の評価を実施すること
正規雇用労働者等への転換等を実施した場合は今年より助成率が75%(転換しなかった場合は70%
)となり、昨年度の70%(転換しなかった場合60%)から増額となりました。


有期雇用契約者等についてもう少し詳しく記載します。

有期雇用契約者等の「等」とは、契約期間が決まっていないパートも含まれるのでしょうか?
答えは含まれます。雇用保険に入っていれば含まれます。ちなみにキャリアアップ助成金の場合は、
パートであっても無期のパートと有期のパートで分けられており、助成率が全然違っていましたよね?人材開発支援助成金のほうは正規でない従業員、といひとくくりの考えでよいと思います。
もう1点、「有期契約労働者等」は、人材育成訓練でも有期実習型訓練にもどちらにも出てきますし、どちらにも「正規雇用労働者等への転換等を実施した場合」という区分があります。いったい
どちらがどうちがうのか?どちらを使ったらよいのか?いまいちわからない方も多いと思います。
ずばり、人材育成訓練での訓練は同じ訓練を正社員と一緒に受講できる、という点です。一方有期実習型訓練のほうは明確に社員を目指し、キャリアコンサルティングを受けてジョブカードを使いながら比較的長いスパンで訓練を行っていくイメージ(正社員化しなくても助成金は支給されますが。)です。


人材育成支援コース(①人材育成訓練②認定実習併用職業訓練③有期実習型訓練)の経費助成の支給限度額

※1専門実践教育訓練の指定講座の訓練については一律「200時間以上」の区分となります。
※2eラーニング及び通信制による訓練(標準学習時間が定められているものは除く)については一律
 「10時間以上100時間未満」の区分になります。
 


1時間800円(令和6年度は1h760円でした。)として、最大1200時間までが助成されるとすると、9600000円(昨年であれば912000円)が1訓練あたりの限度額になります。

事業展開等リスキング支援コース
新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に対して新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を行った場合に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。令和8年度までの限定のコースになります。
主な要件
ОFF-JTにより実施される訓練であること
・実訓練時間数が10時間以上であること
新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるた
 めの訓練や、DX化を推進するにあたって必要となる専門的な知識および技術を習得させる訓練であ 
 ること
・定額制訓練でも10時間以上であれば可(リーフレットP13)

要件を見ると人材育成支援コース(人材育成訓練) の要件となっている、ОFF-JTにより実施される訓練であることや、実訓練時間数が10時間以上であることと同じですね。


                                                                      人材開発支援助成金 (事業展開等リスキリング支援コース) のご案内(詳細版)P2
先に述べた人材育成支援コース人材育成訓練の賃金助成が1人1時間当たり800円であったのに対し、事業展開等リスキング支援コースは1人1時間当たり1000円であり、また経費助成のほうも人材育成
支援コース人材育成訓練の経費助成率が45%であるのに対し、事業展開等リスキング支援コースは中小企業は75%が助成率になっています。75%の助成率は結構な高い助成率です。
 例 「CAÐ90分×24回コース:受講料総額277.700円」はいくらの助成額になるでしょうか?
 277700円の75%=208275円になり、それだけでなく受講中の賃金助成が1時間につき1000円(表
 ご参考ください)が36時間(90分×24回)分助成されるため36000円、合わせて244.275円が助成
 されます。元々の受講料総額は277.700円であったのですから、277,700円-助成額244.275円=
 33425円が負担額、という事になり、30万近い講座、研修を3万税別程度で受講できるという事
 になります。
  


支給限度額

専門実践教育訓練の指定講座の訓練については一律「200時間以上」の区分となります。
eラーニング及び通信制による訓練(標準学習時間が定められているものは除く)については一律
 「10時間以上100時間未満」の区分になります。

経費助成限度額を見ても、人材育成支援コースの人材育成訓練は例えば10時間~100時間未満の訓練の場合の経費助成の限度額が15万円(中小企業の場合)であったのに対し、事業展開等リスキング支援コースでは30万円が経費助成限度額(中小企業の場合)となっています。

人への投資促進コース  
こちらも令和8年度までの限定のコースになります。

訓練内容や目的に応じた5つの訓練
(1)定額制訓練(サブスクリプション)
  多様な訓練の選択・実施ができる「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス)
     例「営業担当者には営業スキル向上講座、経理担当者には表計算ソフト応用講座等、
  さまざまな講座をeラーニングで自由に受けられるサブリクション型研修サービス
  を取り入れたい」
  解説:eラーニングの研修費用が助成金の対象になります。「研修を受けに行ってもらったり
  する時間、制度を作るのはちょっと・・・」という会社にうってつけです。業務時間中に
  eラーニングを受けてもらわなければなりませんが業務時間中の隙間時間、合間時間がある
  場合にお勧めです。わざわざ研修日、研修時間等の明確な日、時間が無くてもできるわけです。
  注意しなければならない事はサブスクリプション型(例・1月1人につき何時間でも~円)
  で無ければなりません。
  受講時間数は10時間以上が要件ですが1時間以上受講した従業員の合計で構いません。
  訓練の実施期間は1年以内であることが条件となっていますが例えば1年分を合計で
  支払ってもその1年分が対象になり、その60%まで支給されます。


(2)高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
  高度デジタル人材の育成のための訓練や、海外を含む大学院での訓練
  例「システム部門の従業員の能力を高めたいので高度なデジタル技術の資格を取得してほしい」

(3)情報技術分野認定実習併用職業訓練
  IT分野未経験者を即戦力化するためOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
  例「IT分野の人材を増やすため、未経験者を一人前のシステムエンジニアに育てたい」

(4)自発的職業能力開発訓練
  労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主への助成
  例「従業員が業務時間外や休日の隙間時間を使って自発的にスキルアップの勉強をしている。
  会社としても生産性向上が期待できるので応援したい。」
    人材開発支援助成金は労働時間「」でなければ割増賃金を支払っていても賃金助成対象
    にはなりません(参考・令和6年11月版人材開発支援助成金人材育成支援コース
    コース事業主向けℚ&AP14)が、逆に労働時間「」の自発的訓練について行う訓練
    について助成されるのでその点で珍しい助成金と言えますね。
      ~参考詳細版パンフレット「 人への投資促進コースのご案内」~

(5)長期教育訓練休暇等制度

 働きながら訓練を受講するための休暇制度や短時間勤務等制度を導入する事業主への助成
  例「外国人の増加に備え海外留学をして語学力を身に着けたいという従業員が自発的に学ぶため
  休暇を取得できるような制度を導入したい」

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